オッズ比よりもリスク比を推定すべきという話

 院生から相談があったわけではないが、何回かのメモから採録する。

  

【第1807回】 国際保健医療学会西日本地方会など(2025年3月1-2日)

いくつかの発表について三重大の谷村先生が指摘していたのは、NEJMのStat Guidelineにも書かれているprevalenceが高いときにはORは過大評価になるのでロジスティック回帰でなく修正ポアソン回帰を使ってCPRを出すべき(リンク先のプレゼン資料が大変わかりやすい)という話。参考に"Odds Ratio or Prevalence Ratio? An Overview of Reported Statistical Methods and Appropriateness of Interpretations in Cross-sectional Studies with Dichotomous Outcomes in Veterinary Medicine"(Frontiers in Veterinary Science, 2017)、"Commentary: Calculating risk and prevalence ratios and differences in R: developing intuition with a hands-on tutorial and code"(Annals of Epidemiology, 2023)、"Incorrect inference in prevalence trend analysis due to misuse of the odds ratio"(Annals of Epidemiology, 2016)、"Overestimation of Relative Risk and Prevalence Ratio: Misuse of Logistic Modeling"(Diagnostics, 2022)、辺りは読んでおくべきか。ちなみに修正ポアソン回帰は、Rならsandwichパッケージかbootパッケージかrqlmパッケージを使うのが便利そう。

 https://minato.sip21c.org/im3r/20250302.html

【第1898回】 採点とか(2025年8月5日)

『現代疫学(原著第4版)』の監訳者の一人である佐藤俊太朗さんがシミュレーションデータでチェックしたら修正ポアソン回帰によるリスク比はロジスティック回帰によるオッズ比と差が大きかったとXにポストされていた。3月から何度かメモしている件だが、これはその通りで、有病割合が高い場合はとくにそうだが、素晴らしい解説スライドを公開してくださっている野間さんが開発したrqlmパッケージを使ってリスク比を出すべきであろう。先月末に自作講義テキスト(ver.1.1.2.3)の11.5.1「ロジスティック回帰分析の注意点」に書いた通り。 

https://minato.sip21c.org/im3r/20250805.html  

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